死闘、スレイプニル
「ふ、ふはははは、ついに!! ついにLV40になったぞ!!」
大学前でひたすら戦い続け、遂にLV40に到達したばんちゃ。
ジェノーバの神官に話しかけてみると
「え!? 開くものって なれるんだ?」
ばんちゃは神官の予想外の言葉に驚きを隠せない。
「ええ、その為にはまだまだ試練を乗り越えなければなりませんが」
「そ、そうだったのか、開くものは召還されたときから開くものでは
なかったのか・・・ん?てことは、最初にとってきた指輪はなんだったんだ?」
今ひとつ腑に落ちない様子で話を聞きながらも、今からでも『開くもの』になる
可能性があると聞きベツレヘムの試練に向かうばんちゃ一行。
「さて、迷宮に着いたわけだが、どうする?」
と、その時 迷宮の傍に立つ門番が声をかけてきた。
「ここから先は信頼できるパートナーと二人で進まなければ、後悔することになるぞ
パートナーは決まっているか?」
それを聞いたばんちゃ達は
「信頼できるパートナー?」とお互いの顔を見合わせて
「・・・」なにやら逡巡しているようだ。
「・・・」どうやら色々と自分を納得させようとしているようだ。
「・・・!?」どうやらお互いに自分の中で折り合いがついたようだ。
「当然じゃないですか、信頼できるパートナーなら、、、ほら、隣に」
「・・・まぁ、よかろう」
神官はなにやら複雑な表情をしながらも鍵を受け取りばんちゃ達を中へ通す。
途中ボムやワイバーンに遭遇しながらも順調に迷宮を登ってゆく。
「しかし、さすがはエルブランド、この服着てると結構楽かも」
もっとも今まではほとんど何も着ない状態で、LV上げをしてきたのだから
本気仕様の服を着て、帽子と靴と盾も持ち、普段とは比べ物にならない程の
戦闘力に感じるのも当たり前かもしれない。
こうちゃも新しいローブに身を包み新調した杖で魔法を唱える。
だが迷宮は予想外に長く、毒攻撃や魔法攻撃にさらされると回復魔法を使用する
回数も増え、潤沢に思えたFPもすぐに半分近くまで減ってしまう。
「こうちゃ〜、ハンバーグまだある〜?」
「さっき全部食べちゃった、後は節約モードで進むからよろしく〜」
そんなこんなで13階、目の前にスレイプニルが座っている。
それほど大きいわけではないが、その姿になにやら威厳のようなものを感じる。
「さて、開くものになる為にも、まずはスレイプニルを倒す」
そう言うとばんちゃは今まで使っていた剣を置き、背中に背負っていた剣に持ち替える。
幾多の戦いを共に潜り抜けてきた剣は修理職人からも『もうこれ以上は研ぐことはできない』と
言われていたが、ここ一番で信頼を裏切った事のない名刀だ。
「ムラマサブレード、、、恐らくこれが最後になるだろうが、頼むぞ」
「いくぞ、スレイプニル!!」
剣を握り締め、遂にスレイプニルとの戦闘が始まった。
敵は中央にスレイプニル、その両脇をボムが固め、さらに両翼にワイバーンが2体
「姫、とびうお、まずは両脇のボムから倒す!!」
迷宮の中で戦った感触からボムの魔法が厄介だと判断したばんちゃは指示を出した後
自身もボムに斬りかかる。
ばんちゃの剣戟ととびうお、姫の連携でボムを撃破すると「次は・・・」
ワイバーンを先に倒すべきか、スレイプニルに攻撃を集中するべきか、一瞬の逡巡、その隙をつき
スレイプニルがとびうおに襲い掛かる。
「奴の攻撃力は侮れんか、スレイプニルに攻撃を集中!! ワイバーンの毒は『根性』で耐えろ!!」
ばんちゃの指示の下、俊敏な動きで姫がスレイプニルに攻撃をかける。
(なんだ? 奴の周りに力が集まっている、、、)
「しまった カウンターか、姫!!」
ばんちゃの声も空しくスレイプニルのカウンターで吹き飛ぶ姫。
「こうちゃ、ヒールを!!」
だがこうちゃのヒールよりも早く、スレイプニル2撃目の諸刃が姫を急襲する。
諸刃を受け崩れ落ちる姫、ばんちゃは姫に駆け寄ると「リヴァイブを頼む」とこうちゃに
指示する。だが
「私に構っている余裕はなかろう」姫が僅かな意識の中ばんちゃに話しかける。
「戦いはまだ続いているのだ、冷静になれ、そして冷徹に我らを使え、我らは皆、、、」
そのまま気を失う姫。
「こうちゃ、リヴァイブは、、、いらない、姫よりも全員の回復を頼む」
ばんちゃは倒れた姫を送還するとプッチバットのぷーたろうを召還し
スレイプニルに斬りかかる。
だが、スレイプニルの姿が一瞬ブレたかと思うと振り下ろした剣が空を斬る。
「なに!? 陽炎も使うのか!!」
(冷静になれ、カウンターや陽炎ならば うまくやれば敵の攻撃回数が減るだけはず)
「とびうお、ぷーたろう、連携攻撃を使う、足並みを揃えろ!!」
1人と2匹で連携攻撃を繰り出し、こうちゃが状況を判断しながらヒールヒーリスで援護する。
「まだか、まだ倒れないのか」
どれだけの攻撃を繰り出しただろうか、こうちゃの気力も限界に近づた頃
スレイプニルが明鏡止水で回復を行った。
(明鏡止水!! 色々とやってくれるな、だが)
「奴が回復しだしたぞ、もう少しだ、気合と気迫で押し切れ!!」
毒に苦しみながらもスレイプニルに突撃するとびうお、援護するように連携を繰り出すぷーたろう
そして
ばんちゃの剣がスレイプニルを捉えた瞬間
「愚かなり、、、」スレイプニルはそういい残すと床に倒れ伏した。
「なんとか、勝てた、これで、開くものに、一歩近づけた」
ばんちゃは精根尽き果てたと言わんばかりに膝を付くと肩で息をする。
「へぇ、スレイプニルを倒したんだ」
声につられるようにばんちゃが顔を上げると目の前に人型の鳥が中に浮かんでいる。
「き、君は?」
「私はタキシトール、あなたは開くものになるの?」
「開くもの、か、それよりなにより、、、仲間にならないか? 鳥は大歓迎中なのだが」
「は? そうねぇ、あなたも強そうだけど、開くものになるのを待ってるわ
まずはヒーリアでも覚えてきたら? 隣の部屋に本があるから」
そういうとタキシトールは何処かへ飛び去ってしまった。
「本?ヒーリア? おぉ、ヒーリア! こうちゃ〜〜〜遂にヒーリア手に入るよ〜」
ばんちゃが嬉しそうにこうちゃを呼ぶと
「そうね、、、、でも、装備たくさん買ったから今お金ないわよ」
スレイプニルに勝てた喜びと、ヒーリアが手に入らなかった悲しみと、微妙な気持ちで
ベツレヘムを後にするばんちゃ一行であった。